ながみねにっき

毎日22時に投稿される、雑感と、たまーーにミニコミ

桜の幻影

 定期通院の日。原付きで病院まで向かう。朝刊で見かけた、桜が見ごろだという通りは、いつもの通院ルートを少し外れた、狭い農道にあった。普段見慣れているうえに、景色があまり変わらない。迷子になりかけながら、原付きを走らせる。つくのかと不安になったけど、農耕地の隅に並んだ桜の道は、意外と目立つためかすぐに見つかった。

 

 そのまま道に沿って並木道の中を進んでいく。よそ見は良くないとわかりつつ、ついつい上を見上げたくなった。いやいや、運転最優先。惑わすのは、美男美女だけとはかぎらないのだ。それくらい、桜並木の中を走るのは気持ちが良かった。なんだか普段言わないことを言いそうな気持ちにさせられる。


 ふと「二人なら最強だ」と笑う彼らが、あの桜並木を肩を組んでワイワイ歩いている風景が思い浮かんだ。いわゆる青春の一幕としてであって、深い意味はなし。日常的にこんな空想をしてしまう辺り、本当に心を握られてるな。なんて、苦笑いするしかなくなる。

 

 桜の幻影なんていうと、少し恥ずかしいかな。でも、そんなことをつい言ってしまうくらいの力が、桜にはあるのかもしれない。桜、恐ろしい子!(白目の劇画風